(環境放射線監視季報第181報から)
茨城県環境放射線監視計画に基づく、東海村の平成29年度第2四半期の短期的変動調査結果及び第1、第2四半期の長期的変動調査結果は、次のとおりです。
東電福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響により、一部の空間ガンマ線量率が平常の変動幅を上回りました。また、同様に、大気塵埃及び降下塵からセシウム-137などの放射性核種が検出され、さらに、原子力施設の排水からも、東電福島第一原子力発電所事故の放射性物質放出の影響による全ガンマ放射能が検出されました。なお、これらについては県内原子力施設からの影響ではありません。
東電福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響により、空間ガンマ線量率の測定結果が事故前の測定値を上回り、積算線量の測定結果も平常の変動幅を上回りました。また、同様に土壌、河川水、海水、海底土などからセシウム-137などの放射性核種が検出されました。
県が東海村に設置している7地点のモニタリングステーションで測定した空間ガンマ線量率1時間値の3ヶ月間の平均値及び最大値を次の図に示します。県内98地点での月平均値は、33nGy/時~110nGy/時の範囲で、東電福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質放出の影響により、98地点中1地点において平常の変動幅(上限値は、100nGy/時)を上回りました。
1時間値の最大値は原子力機構大洗の周辺監視区域境界で7月18日に測定した130nGy/時でした。
排気中に含まれる放射性物質の測定は、原子力事業者が放射性核種分析、全ベータ放射能測定、全アルファ放射能測定を行っています。主要放出核種の放射性核種分析結果は、過去のレベル又はそれ以下でした。全ベータ放射能及び全アルファ放射能については検出されませんでした。
県内原子力施設で排気した測定対象の42排気筒のうち、原子力機構原科研JRR-2他、原子力機構サイクル工研再処理施設の排気筒において希ガス(41Ar,85Krなど)、3Hなど、各施設の放出核種を測定したところ、東海村内では下記の3排気筒で検出されましたが、過去と同じレベル又はそれ以下でした。
排気中の放射性核種分析結果(主要核種)(第181報)
測定者 | 施設名 | 核種名 | 3ヶ月平均濃度 (Bq/cm3) |
管理目標値 (Bq/cm3) |
原子力機構 核サ研 | 再処理施設・主排気筒 | 3H | 6.6×10-5 | 2.4×10-1 |
積水メディカル | 第4棟排気筒 | 3H | 1.9×10-5 | 7.4×10-4 |
14C | 4.1×10-6 | 1.6×10-4 | ||
NDC | NDC 化学分析棟(R棟) | 131I | 9.4×10-10 | 7.4×10-8 |
この四半期における短期的変動調査としては、上記の他に大気中放射能、農畜産物中の放射能、海洋における放射能を測定した結果、東電福島第一発電所事故の影響により大気中放射能で放射性物質が検出されました。
平成29年度第1、第2四半期における積算線量の実測値は、東電福島第一発電所事故前から存在していた自然放射線によるものと、当該事故で放出された放射性物質によるものを足し合わせたものになります。
東海村、日立市、ひたちなか市、那珂市などの周辺地域内の65箇所に配置されているTLD・蛍光ガラス線量計によって測定された平成29年4月から平成29年9月までの積算線量の分布を下図に示します。積算線量の結果は東電福島第一発電所で放出された放射性物質の影響により、93地点のうち86地点で平常の変動幅の上限を上回り、東海地区では0.16~0.38mGy/6ヶ月となりました。
長期的変動調査として、上記の積算線量の他に大気中、陸土中、海底土中及び海岸砂中における放射能測定などを行いました。陸水の河川水及び湖沼水、飲料水、海水中の放射性核種分析については、今期は東電福島第一発電所事故の放射性物質放出の影響のため県内全域で実施しました。降下塵は水戸市上国井町など3地点で採取、分析の結果、セシウム-134が1地点、セシウム-137が全地点で検出されました。