東海村の原子力

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所

Japan Atomic Energy Agency Nuclear Science Research Institute

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所

■施設の概要
所在地
那珂郡東海村大字白方2番地4
(〒319-1195)
電話 029-282-5100 受付台案内
敷地面積
約222万m(約67万坪)
職員数
約960名
■設立の目的

日本原子力研究開発機構は、我が国唯一の原子力の総合研究開発機関として、原子力により国民の生活に不可欠なエネルギー源の確保を実現すること、及び原子力による新しい科学技術や産業の創出を目指して、その基礎・基盤から応用・実用化までの研究開発を行うとともに、その成果等の普及を行い、もって人類社会の福祉及び国民生活の水準向上に寄与することを目的として設立されました。

■現在までの経過
昭和30年11月
(財)原子力研究所設立
昭和31年4月
原子力委員会、原子力研究所の敷地に茨城県東海村を選定
昭和31年6月
日本原子力研究所発足
昭和32年7月
東海研究所設置
昭和32年8月
日本最初の研究用原子炉JRR-1臨界
昭和35年10月
研究用原子炉JRR-2臨界
昭和37年9月
国産第1号研究用原子炉JRR-3臨界
昭和38年10月
動力試験炉(JPDR)、日本最初の原子力発電に成功
昭和40年1月
研究用原子炉JRR-4臨界
昭和42年4月
高速炉臨界実験装置(FCA)臨界
昭和43年10月
国産初の再処理によるプルトニウムの回収に成功
昭和50年6月
原子炉安全性研究炉(NSRR)臨界
昭和50年7月
FCAでもんじゅ用模擬炉心が初臨界
昭和54年12月
燃料試験施設完成
昭和57年8月
タンデム加速器完成
昭和60年5月
冷却材喪失事故を模擬する大型非定常試験装置(LSTF)完成
昭和61年12月
JPDRで我が国初の原子炉解体実地試験開始
平成6年6月
燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)完成
平成13年6月
高度環境分析研究棟(CLEAR)完成
平成13年12月
大強度陽子加速器施設(J-PARC)建設開始
平成17年10月
独立行政法人日本原子力研究開発機構 発足
平成21年3月
J-PARC第Ⅰ期分完成
平成27年4月
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構に名称変更
■事業の概要

原子力科学研究所(旧日本原子力研究所東海研究所)は、昭和32年7月に設置され、研究用原子炉、加速器、放射性物質を安全に取り扱える施設等の重要な研究施設を有しており、これらを活用して、福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた研究開発、安全研究、原子力基礎基盤研究、物質科学研究等原子力に関する多様な研究開発活動を行っています。また、大型計算機施設、原子力情報に関する図書館、原子力人材育成センター等の施設も有しており、人材育成や研究情報サービス等も行っています。

(1)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた研究開発

「東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」や原子力損害賠償・廃炉等支援機構が策定する戦略プラン等の方針をはじめ、中長期的な視点での現場ニーズも踏まえつつ、福島原発の廃止措置及び廃棄物の処理・処分のための課題解決に取り組んでいます。

(2)安全研究

原子力エネルギーを安全に利用するため、福島第一原子力発電所事故の教訓や最新の技術的知見を踏まえて、重大事故の発生防止及び影響評価手法の高度化に関する研究、緊急事態への準備と対応に向けた研究、事故に関わる放射線影響・廃棄物管理の研究、及び燃料デブリの臨界安全管理に関する研究に重点化した安全研究を進めています。得られた研究成果を基に、科学的・合理的な規制基準類の整備及び原子力施設の安全性に関する確認等に貢献しています。

(3)原子力基礎・基盤研究

原子力利用を支え、様々な社会的ニーズへ科学的に貢献するための基盤を形成し、新たな原子力利用技術を創生するため、核工学・炉工学、燃料・材料工学、原子力化学、環境・放射線科学、計算科学技術、分離変換技術、軽水炉安全基盤技術等の研究を行っています。これらの取り組みは、福島第一原子力発電所事故からの復旧や環境修復にも役立てています。また、将来の原子力の萌芽となる未踏の研究分野の開拓を進めるため、先端的な基礎研究を行っています。

(4)物質科学研究

研究用原子炉JRR-3や大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設で発生する中性子ビームを利用して、各種実験技術・手法の開発を行っているほか、物質・材料科学、生命科学分野の学術研究、産業利用も推進しています。

(5)研究成果、原子炉施設を利用した社会貢献

研究用原子炉JRR-4は、発生される中性子ビームの医療応用として、外科的手術を適用できない悪性脳腫瘍等の治療法であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の開発に利用されてきました。また、研究用原子炉JRR-3は、ガン治療に用いられる医療用放射性アイソトープの製造や高性能シリコン半導体の製造に必要な中性子照射に利用されています。

■大強度陽子加速器施設(J-PARC)

原子力科学研究所には、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同で建設した、世界最高レベルの大強度陽子加速器施設(J-PARC)が設置されています。J-PARCは、産業応用への展開を目指す物質・生命科学研究、宇宙創生の謎に迫る原子核・素粒子物理研究、さらには放射性廃棄物処理処分のための核変換技術開発等、広範な分野で新たな研究開発の進展に貢献しています。

大強度陽子加速器施設(J-PARC)
      大強度陽子加速器施設(J-PARC)

■安全確保対策

原子力科学研究所では、自然災害発生時や事故・トラブル発生時に的確な対応を図るため、現地対策本部等の体制や防護資機材を整備するとともに、東海消防署等の外部関係機関との連携を図り、総合的かつ実際的な防護活動訓練等を通じて対応能力の向上に努めています。

(1)災害への備え

原子力事故に備え、放射線測定器、放射線防護資機材を整備するとともに、迅速な通報連絡のため、ひたちなか・東海広域事務組合消防本部への通報用専用電話を設置しています。また、火災に備え、施設には消火器、屋内消火栓、屋外消火栓を設置しています。消火栓が使えない場合に備え、消火水用ポンドを敷地内に確保しています。

(2)自衛消防体制

自衛消防隊は24時間体制で中央警備室に常駐している警備員によって組織され、火災発生時には化学消防車等が出動し、初期消火活動を行います。

(3)災害発生時の対応能力向上への取組み

大規模地震や大津波の発生を想定した訓練及び原子力災害を想定した非常事態総合訓練を毎年実施するとともに、所轄消防本部等の防災関係機関と共同の訓練を実施し、災害発生時の対応能力の向上に努めています。

所轄消防本部との共同訓練
    所轄消防本部との共同訓練