日本原子力発電(株)は、わが国唯一の原子力発電専業会社として日本最初の商業用原子力発電所である東海発電所を、また、軽水型原子力発電所の先鞭としての敦賀発電所1号機を完成させました。さらに110万kW級の大型発電所である東海第二発電所を、国産改良標準化加圧水型炉の敦賀発電所2号機を完成させ、これらの建設・運転を通じてわが国の原子力技術の発展向上に努めております。
東海発電所は、昭和41年7月に日本で初めての商業用原子力発電所として営業運転を開始し、平成10年3月31日に運転を停止しました。東海発電所の建設・運転により得られた技術と経験は、その後の日本の原子力発電技術の基礎を築きました。運転停止後は、平成13年12月から廃止措置に着手しました。原子炉領域は約 23年間の安全貯蔵の後に解体撤去することとし、原子炉領域以外のタービン建屋等の付属設備等は順次撤去していきます。撤去に伴って発生する廃材の中で、クリアランス制度により放射能濃度が極めて低いものの一部は、原子力関連施設の遮へい体やベンチ等にリサイクルしています。発電所解体撤去後の跡地は、有効利用が可能な状態にする予定です。
東海発電所の廃止措置は、原子炉、付属設備及び建屋を撤去し、更地の状態に戻すことを基本としています。放射能レベルの高い部分は原子炉領域に限定されており、原子炉領域は放射能を減衰させるため、安全貯蔵状態にしておきます。安全貯蔵期間中は、その後の原子炉領域を撤去する本格工事で発生する撤去物の搬出ルート確保、放射性廃棄物保管エリア確保、資機材置場確保及び作業員の平準化のため、安全貯蔵対象範囲外の設備を撤去します。原子炉領域の解体撤去後、各建屋等は汚染を除去し管理区域を解除して撤去します。
![]() ・原子炉領域以外の撤去概略図 |
![]() ・原子炉領域以外(主に熱交換器)の撤去概略図
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![]() ・原子炉領域の撤去概略図 |
![]() ・建屋等の撤去概略図
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・全工期:約30年
原子炉領域安全貯蔵…2001年度から約23年間(実施中)
原子炉領域解体撤去及び建屋撤去…2024年度から約7年間
・終了予定時期:2030年度
(参考工程) | |
原子炉領域以外の撤去※ | 2001年度~2029年度(実施中) |
熱交換器等の撤去 | 2006年度~2024年度(実施中) |
原子炉領域の撤去 | 2024年度~2029年度 |
建屋等の撤去 | 2029年度~2030年度 |
※タービン他周辺機器は撤去済 |
東海第二発電所は、日本初の大型原子力発電所として昭和48年4月に着工し、昭和53年11月に営業運転を開始しました。発電所の規模としては、茨城県内の消費量の約3分の1を占める大きさです。平成23年3月の東北地方太平洋沖地震による停止以降は第25回定期事業者検査(法令改正に伴い,令和2年4月より定期検査から定期事業者検査に名称変更)中にあり、現在は東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえた地震・津波対策、多様な電源や冷却機能の確保対策など、各種の安全性向上対策を実施中です。平成26年5月20日に新規制基準への適合性確認のための原子炉設置変更許可申請を行いました。その後、審査の内容等を反映した申請書の補正を経て、平成30年9月26日に原子力規制委員会から許可を受領しました。工事計画についても、設置変更許可と同様に規制委員会の審査を経て、平成30年10月18日に認可を受領しました。また、運転期間延長についても、平成29年11月24日に原子力規制委員会に申請し、平成30年11月7日に認可を受領しました。
令和元年9月24日には、特定重大事故等対処施設の設置等に係る原子炉設置変更許可申請を原子力規制委員会に提出し、令和3年12月22日に原子力規制員会から許可を受領しました。
東海発電所 | 東海第二発電所 | |
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電気出力 | 16万6,000kW | 110万kW |
周波数 | 50ヘルツ(サイクル) | 50ヘルツ(サイクル) |
原子炉型式 | 黒鉛減速、炭酸ガス冷却型 (コールダーホール改良型) |
軽水減速、沸とう水型軽水炉 |
熱出力 | 58万7,000kW | 約330万kW |
燃料 | 天然ウラン約187トン | 低濃縮ウラン約132トン |
減速材 | 黒鉛 | 軽水 |
冷却材 | 炭酸ガス | 軽水 |
営業運転開始 | 昭和41年7月25日 | 昭和53年11月28日 |
営業運転停止 | 平成10年3月31日 | - |