東海村の原子力

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 核燃料サイクル工学研究所

Japan Atomic Energy Agency Nuclear Fuel Cycle Engineering Laboratories

■施設の概要
所在地
那珂郡東海村村松4-33
(〒319-1194)
電話 029-282-1111(代)
敷地面積
約111万m(約33万坪)
職員数
約630名
■現在までの経過
昭和32年6月
原子燃料公社東海製錬所設置
昭和34年3月
我が国初の金属ウラン製造に成功
昭和34年3月
原子燃料公社東海製錬所開所
昭和41年1月
プルトニウム初入荷、プルトニウム燃料第一開発室にてプルトニウム燃料の開発を開始
昭和42年10月
動力炉・核燃料開発事業団東海事業所に改組
昭和44年5月
遠心分離法によるウラン濃縮試験に成功
昭和46年6月
再処理施設の建設着工
昭和47年11月
プルトニウム燃料第二開発室にて高速実験炉「常陽」燃料の製造開始
昭和50年7月
同上施設にて新型転換炉「ふげん」燃料の製造開始
昭和52年9月
日米再処理交渉を経て、再処理施設にてホット試験開始
昭和56年1月
再処理施設にて本格運転を開始
昭和57年9月
高レベル放射性物質研究施設(CPF)にて高速実験炉「常陽」燃料の再処理を開始
昭和57年12月
同上施設にて高レベル放射性廃液のガラス固化基礎試験を開始
平成元年10月
プルトニウム燃料第三開発室にて高速増殖原型炉「もんじゅ」初装荷燃料の製造を開始
平成5年10月
地層処分基盤研究施設(ENTRY)での地層処分研究開発の試験開始
平成6年1月
プルトニウム燃料第三開発室にて高速増殖原型炉「もんじゅ」初装荷燃料の製造完了
平成7年1月
ガラス固化技術開発施設(TVF)にてガラス固化体の製造開始
平成7年1月
リサイクル機器試験施設(RETF)の建設着工
平成9年3月
アスファルト固化処理施設で火災爆発事故
平成10年10月
核燃料サイクル開発機構に改組
平成11年8月
地層処分放射化学研究施設(QUALITY)での地層処分研究の試験開始
平成12年11月
再処理施設の運転を再開
平成13年11月
プルトニウム燃料第二開発室における「ふげん」用MOX燃料の製造を終了
平成14年6月
再処理施設の使用済燃料累積処理量が1,000tを達成
平成16年7月
CPFでプルトニウムを用いた乾式再処理プロセス試験に着手
平成17年10月
独立行政法人日本原子力研究開発機構 発足
平成18年3月
再処理施設において電気事業者との役務再処理完遂
平成20年4月
米国アイダホ国立研究所との核燃料サイクル分野における人材育成の協力協定締結
平成23年3月
原子力災害対策特別措置法に基づく福島への専門家及び資機材の派遣を開始
平成23年7月
福島から内部被ばく測定に来られる方の受入れを、原子力科学研究所とともに開始
平成24年4月
福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた研究開発を推進するため、核サ研福島技術開発特別チームを設置(平成26年4月福島廃止措置技術開発センター、平成27年4月廃炉国際共同研究センターに改組)
平成27年4月
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構に名称変更
平成30年6月
再処理施設の廃止措置計画認可(平成29年6月認可申請)
■事業の概要

核燃料サイクル工学研究所は、原子力エネルギーを有効利用する核燃料サイクルの実現に向けて、以下の研究開発に取り組んでいます。

(1)東京電力福島第一原発事故への対応

国が定めた「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」の計画に基づき、燃料デブリの特性把握に係る研究開発、汚染水処理で発生する放射性廃棄物の処理・処分技術開発等、当研究所の各施設を活用した試験研究に取り組んでいます。

また、福島第一原発周辺の環境試料のクロスチェック分析、放射線や放射能に関する勉強会の開催等の支援活動を実施しています。

(2)再処理技術開発

東海再処理施設は廃止措置段階に移行し、当面、保有する放射性廃棄物に伴うリスクの早期低減を最優先課題として、高放射性廃液のガラス固化処理にかかる取り組みを進めるとともに、高放射性廃液のガラス固化技術の高度化や低放射性廃棄物の減容・安定化技術開発を進めています。

さらに、日本原燃㈱が青森県に建設中の六ヶ所再処理工場への技術協力を実施しています。

(3)プルトニウム燃料技術開発

プルトニウム燃料開発施設では高速炉用MOX燃料に係る技術開発として更なる経済性向上を目指した製造プロセスの開発や燃料の研究及び分析や保障措置等の関連技術の開発等を行っています。

また、日本原燃㈱が青森県に建設中の MOX 燃料工場への技術協力を実施しています。

(4)放射性廃棄物の処理・処分技術開発

低レベル放射性廃棄物の処理については、放射性廃液のセメント固化技術、固体廃棄物の減容安定化技術、焼却灰等に対するセメント材や新規固化材による固化技術等の開発を行っています。

使用済燃料の再処理により発生する高レベル放射性廃液は、ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)に処理し、一定期間、地上の施設で貯蔵した後、地下300m以深の地層中に金属容器や粘土材料に包んで埋設し、人間の生活環境から隔離すること(地層処分)が計画されています。この地層処分の安全性と信頼性の向上に資するため、地層中での地下水の性質や動き、金属容器や粘土材料の性能、放射性物質の動き等を調べる研究を行っています。

(5)高速炉を用いた核変換技術の研究開発

使用済燃料の再処理によって生じる高レベル放射性廃液の中には、発熱量が大きく、万が一、人が摂取した場合の有害度が高いアメリシウムやキュリウムなどのマイナーアクチニド(MA)が含まれます。このMAを高レベル放射性廃液から取り除き、ガラス固化体の発熱量の低下を図るとともに、高速炉内の中性子によって半減期の短い核種に核変換することにより、潜在的な有害度の低減を図ることが期待されます。この実現のため、高レベル放射性廃液からMAを分離して取り出す技術、MAを添加したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の物性研究や製造技術、さらに高速炉内でMA燃料を照射する際の安全性等の解析・評価技術に係る研究開発に取り組んでいます。

「核燃料サイクル図」

■安全確保対策

核燃料サイクル工学研究所は、地震等の自然災害発生時や事故・トラブル等の緊急時に的確な対応を図るための資機材や体制を整備するとともに、訓練等を通じ緊急事態への対応能力の向上に努めています。

再処理施設においては、高放射性廃液のガラス固化処理にかかる取り組みを進めるとともに、新規制基準を踏まえた安全性向上に係る取り組みを進めています。

プルトニウム燃料技術開発施設においては、核燃料サイクル工学研究所内のMOX集約にかかる取組を進めるとともに、新規制基準を踏まえた安全性向上に係る取り組みを進めています。

また、核燃料物質使用施設において、新規制基準への対応の検討を進めています。

(1)非常用資機材の配備

放射線測定器や防護服等のほか、自治体(茨城県、東海村)や所轄消防本部との通報用専用回線、救助用資機材等、災害発生時に必要な資機材を配備しています。また、消火栓が使えない場合に備え消火用水を敷地内各所に確保しています。

(2)自衛消防体制の強化

職員と構内に常駐する警備員で構成する自衛消防班が24時間体制で緊急時に備えています。

(3)災害発生時の対応能力向上への取組み

施設の火災や大規模地震の発生を想定した研究所全体の総合訓練を毎年実施するほか、所轄消防本部等の防災関係機関との合同訓練を実施し、災害発生時の対応能力向上を図っています。

公設消防署と自衛消防班との合同訓練
所轄消防本部と自衛消防班との合同訓練

(4)核物質防護の取組み

核物質防護設備を適切に運用するとともに、治安当局と連携した核物質防護訓練を実施し、実践的な核物質防護体制を
構築しています。