もう一度考えませんか?ふるさと納税のこと~ふるさと納税の問題点~

更新日:2025年09月01日

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ふるさと納税とは

ふるさと納税制度は、生まれ育った「ふるさと」や、自分を育んでくれた「ふるさと」に税を通して貢献する制度として、平成20年5月に始まったものです。

「ふるさと」となる自治体に寄附した金額の一部が、法律の範囲内で所得税や村・県民税から控除されます。

 

ふるさと納税の本来の意義

ふるさと納税には、「税金の使われ方を考えるきっかけになる」「生まれ故郷やお世話になった地域、応援したい地域への力になる」「地域のあり方を改めて考えるきっかけとなる」という趣旨があります。
しかし、現状ではその趣旨が薄まり、「2千円の自己負担で返礼品が受け取れ、税金まで控除されるお得な制度」という認識で、返礼品を目的に寄附先が選ばれている傾向が強くなっています。

 

ふるさと納税による東海村の減収額

東海村の産業は、専門・科学技術、業務支援サービスや電気業に特化している産業構造となっているため、地場産の返礼品をそろえることが難しい状況となっています。

そのため、東海村では、ふるさと納税の寄附による歳入より、ふるさと納税にかかる経費と村民の皆様が他自治体へ寄附することによる寄附金控除額の方が多く、収支はマイナスとなっており、村民税が流出している状況となっています。

村民税は、村のさまざまな行政サービスの財源となっており、この状態が続くと村民の皆さんに提供する行政サービスに影響が出るおそれがあります。

(1) 村の実質収入額(単位:円)
  村の実質収入額(A-B) ふるさと納税寄附額(A) 返礼品などの経費(B)
R1 16,511,694 32,382,000 15,870,306
R2 40,136,411 73,336,000 33,199,589
R3 40,168,584 77,864,000 37,695,416
R4 66,687,028 118,614,000 51,926,972
R5 40,727,259 76,562,000 35,834,741
R6 30,946,429 56,455,000 25,508,571

※ふるさと納税に関する現況調査より

 

(2) 村外への流出額(単位:円)
 

流出額(ふるさと納税の村民税分寄附金控除)

R1 40,287,227
R2 43,608,356
R3 60,225,474
R4 101,502,353
R5 117,889,822
R6 134,202,570

※ふるさと納税に関する現況調査より

 

(3) 村のふるさと納税収支額(1)-(2)(単位:円)

村民のために使われるべき税金が、令和6年度は約1億円流出しました。
この額は毎年増加し続けています。

 

村のふるさと納税収支額

R1 △23,775,533
R2 △3,471,945
R3 △20,056,890
R4 △34,815,325
R5 △77,162,563
R6 △103,256,141

東海村財政への影響は深刻です

村外へ流出した金額は、東海村の行政サービスに換算すると、次のような費用に相当します。

本来であれば、村民のために使われるべき税金が、毎年失われていることになります

 

(参考)1億円でできること

・村内の小中学校の給食の材料  半年分(約1億円)
・村の水道を利用している世帯及び事業者への水道料金減免 2ヶ月分(約1億3千万円)
 

減収に対する国からの補てんがありません

多くの自治体では、「地方交付税」という仕組みによって、ふるさと納税による減収額の75%が国から補てんされています。しかし、東海村は普通交付税の不交付団体となっており、国からの補てんが受けられません。

そのため、ふるさと納税による寄附が流出すると、村民税の減収が直接的な影響を及ぼし、行政サービスやインフラ整備に必要な予算が減少する可能性があります。

(注釈)地方交付税
地方自治体間の財源の均衡を図ることを目的とした、国の財政調整制度。
人口や村道の延長など、客観的に算定した標準的な財政需要が、標準的な財政収入を超える団体に対して交付されるが、東海村では固定資産税などの安定的な村税収入があり、全国有数の財政力を堅持しているため、普通交付税の不交付団体となっている。

 

ワンストップ特例制度を使うと、村の負担はさらに大きくなります

平成27年度に始まった「ワンストップ特例制度」により、所得税の確定申告をせずに寄附金控除が受けられるようになりました。

確定申告による寄附金控除は、国に納められる所得税と、県と村に納められる村・県民税から寄附額分が控除されます。

一方、ワンストップ特例制度による寄附金控除は、県と村に納められる村・県民税からのみ寄附額分が控除されます。


つまり、国が負担すべき税の減収分を、県や村に転嫁する制度となっており、ワンストップ特例制度を活用する村民が増えるほど、村の負担が増える仕組みとなっています。 

 

東海村から村民の皆様へ

東海村では、村を実際に訪れていただく体験型の返礼品や、地域の産業に関する返礼品をご用意するなど、ふるさと納税本来の趣旨に沿うよう工夫しながら、東海村の魅力を全国にPRしています。

近年のふるさと納税制度については、本来の趣旨に沿わない認識が広がっている側面もあることから、ふるさと納税をご検討されている村民の皆さまには、ふるさと納税の趣旨や問題点についても知っていただいた上で、ご活用くださいますようお願いいたします。

 

この記事に関するお問い合わせ先

産業部 産業政策課 産業政策推進担当(東海村産業・情報プラザ アイヴィル内)

〒319-1118  茨城県那珂郡東海村舟石川駅東三丁目1番1号
電話番号:029-287-0925
ファックス:029-283-5001​​​​​​​

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