(環境放射線監視季報第157報から)

東海村の環境放射線監視結果の概要

Ⅰ監視結果の評価

茨城県環境放射線監視計画に基づく、東海村の平成23年度第2四半期の短期的変動調査結果及び第1,2四半期の長期的変動調査結果は、次のとおりです。

1.短期的変動調査(平成23年7月~平成23年9月)

東電福島第一原子力発電所事故の放射性物質放出の影響により、空間ガンマ線量率が平常の変動幅を大きく上回りました。また、同様に、大気塵埃及び降下塵からセシウム-137などの放射性核種が検出され、さらに、原子力施設の排気、排水からも、東電福島第一原子力発電所事故の放射性物質放出の影響による放射性核種が検出されました。

なお、これらについては、県内原子力施設からの影響ではないことを確認しました。


2.長期的変動調査結果(平成23年4月~平成23年9月)

東電福島第一原子力発電所事故の放射性物質放出の影響により、積算線量の測定結果が平常の変動幅を上回りました。また、同様に河底土、海岸砂、河川水、湖沼水、海底土などからセシウム-137などの放射性核種が検出されました。

Ⅱ監視結果の概要

1.短期的変動調査結果
(1)空間ガンマ線量率測定結果

県が東海村に設置している7地点のモニタリングステーションで測定した空間ガンマ線量率1時間値の3ヶ月間の平均値及び最大値を次の図に示します。県内76地点での月平均値は、59nGy/時~750nGy/時の範囲で、東電福島第一原子力発電所事故の放射性物質放出の影響により、平常時の変動幅(上限値は、100nGy/時)を大きく上回りました。

1時間値の最大値は原子力機構原科研の周辺監視区域境界で7月に測定した770nGy/時でした。

空間ガンマ線量率

(2)原子力施設の排気中の放射能測定結果

排気中に含まれる放射性物質の測定は、原子力事業者が放射性核種分析、全ベータ放射能測定、全アルファ放射能測定を行っています。東京電力福島第一原子力発電所事故の放射性物質放出の影響により134Cs、137Cs及び全ベータ放射能が検出されました。全アルファ放射能については検出されませんでした。

県内原子力施設のうち原子力機構原科研JRR-3など37排気筒において希ガス(41Ar,85Krなど)、トリチウム(3H)など、各施設の放出核種を測定しています。それらのうち東海村内では、下表に示す7排気筒で放射性核種が検出されました。この内、原電の2排気筒から検出されたセシウム137は東電福島第一発電所事故の放射性物質の影響によるものでした。

この四半期における短期的変動調査としては、上記の他に大気中放射能測定、農畜産物中の放射能測定、海洋における放射能測定などを行いましたが、東電福島第一発電所事故の放射性物質の影響でした。

排気中の放射性核種分析結果(主要各種)

排気中の主要放射性核種の管理目標値に対する割合

2.長期的変動調査結果

東海村、日立市、ひたちなか市、那珂市などの周辺地域内の67箇所に配置されているTLD・蛍光ガラス線量計によって測定された平成23年4月から平成23年9月までの積算線量の分布を下図に示します。福島第一原子力発電所事故の放射性物資放出の影響を除外した積算線量の測定結果は、地域分布は従来と同じ傾向で、経年変化も従来と同じ水準で推移しております。なお、事故の放射性物質放出の影響を含んだ積算線量による外部被ばく実効線量は東海地区で0.35~3.4mGyでした。


長期的変動調査として、上記の積算線量の他に魚網表面吸収線量率、大気中、陸土中及び海洋における放射能測定などを行ないました。陸土の土壌、水道水、海水中の放射性核種分析については、今期は福島第一原子力発電所事故の放射性物資放出の影響のため県内全域で実施しました。降下塵は水戸市愛宕町など3地点で採取、分析の結果、ニオブ-95、セシウム-137が全地点で検出され、平常の変動幅を上回りました。陸土の土壌の測定結果、放射性セシウムが4000~78000Bq/㎡で、県北沿岸部及び県南地域で高い傾向が見られた。水道水については、3月23日の測定の結果、東海村を含め7市町村で指標値を超過しました。水道水摂取の自粛を行い、3月25~27日にかけて指標値を下回ったので自粛を解除しました。海水は東京電力が測定し、県沖合3kmの5地点では放射性ヨウ素、セシウムは不検出でした。

積算線量(TLD・蛍光ガラス線量計)分布図