環境放射線監視結果の概要(県・東海地区環境放射線監視季報第139報から)

東海村の環境放射線監視結果の概要(環境放射線監視季報第139報から)

Ⅰ監視結果の評価

茨城県環境放射線監視計画に基づく、東海村の平成18年度第4四半期の短期的変動調査は、次のとおりです。

1.短期的変動調査結果(平成19年1月~平成19年3月)

全般を通じて、原子力施設周辺環境の放射線レベルには、異常は認められませんでした。また、原子力施設からの排気、排水中の放射能濃度は、排出基準等を全て下回っていました。

2.長期的変動調査結果(平成18年10月~平成19年3月)

放射能の分布については、従来と特に変わった傾向は認められませんでした。また、放射能の蓄積の傾向は、認められませんでした。

Ⅱ監視結果の概要

1.短期的変動調査結果
(1)空間ガンマ線量率測定結果

県が東海村に設置している7地点のモニタリングステーションで測定した空間ガンマ線量率1時間値の3ヶ月間の平均値及び最大値を次の図に示します。

図中の注1で示す29~54nGyは、県内76地点の月平均値の範囲です。 

図中の注2で示す1時間値の最大値79nGyは、平成19年2月の降雨時に原科研が東海村亀下局で測定したものです。

図中の注3で示す値100nGyは、平常時の変動幅の上限値です。

(2)原子力施設の排気中の放射能測定結果

排気中に含まれる放射性物質の測定は、放射性核種分析、全ベータ放射能測定、全アルファ放射能測定によって行っています。

放射性核種分析は、県内原子力施設のうち原子力機構原科研JRR-3など39排気筒において希ガス(Ar41, Kr85など)、トリチウム(H3)など、各施設の放出核種を測定しました。村内では、下表に示す10の排気筒で放射性核種が検出されましたが、過去と同レベル又はそれ以下でした。次に示した図は、施設ごとの管理目標値に対する3ヶ月平均濃度の割合を表したものです。また、全ベータ放射能および全アルファ放射能については検出されませんでした。

この四半期における短期的変動調査としては、上記の他に大気中放射能測定、農畜産物中の放射能測定、海洋における放射能測定などを行いましたが、測定値は、いずれも法令値あるいは監視委員会が定める目安基準などを下回っていました。

2.長期的変動調査結果

東海村、日立市、ひたちなか市、那珂市などの周辺地域内の67箇所に配置されているTLD・蛍光ガラス線量計によって測定された平成18年10月から平成19年3月までの積算線量の分布を下図に示します。

積算線量の測定結果は、いずれも平常の変動幅の上限値以下でした。また、地域分布は従来と同じ傾向で、経年変化も従来と同じ水準で推移しております。

この四半期に行われた長期的変動調査としては、上記の積算線量の他に土壌中の放射性核種分析、海水及び海底土中の放射性核種分析、魚網表面吸収線量率の測定、降下塵中の放射性核種分析、陸水中の放射能分析などを行ないました。

土壌については、水戸市見川など8地点で試料を採取、分析した結果、全地点でセシウム-137を検出しました。また、海底土については、久慈沖など12海域で採取、分析した結果、セシウム-137が3海域で、プルトニウムは9海域で検出しましたが、いずれも過去のレベルと同程度で、蓄積の傾向は認められませんでした。

土壌中及び海底土中放射性核種分析以外の測定の結果は、いずれも不検出でした。

Ⅲ報告結果の訂正について

経済産業省原子力・安全保安院は、平成18年11月30日に全電力会社に対し、水力、火力及び原子力の発電設備に係るデータ改ざんの有無についての点検を指示しました。日本原子力発電(株)(原電)が点検を行なったところ、茨城県環境放射線監視計画に基づく報告(主に排気中の核種分析結果)に誤りがあることが判明しました。

茨城県は、原電の報告について、事実関係を調査したところ、錯誤があることが明らかになりました。また、他の原子力事業所に対しても再確認を要請したところ、(独)日本原子力研究開発機構東海開発センター核燃料サイクル工学研究所から同様の事例が報告されました。

茨城県東海地区環境放射線監視委員会は、錯誤の原因及び訂正データの妥当性などについて調査検討を行ないました。その結果、データを訂正することが妥当であり、かつデータの訂正は、過去の評価結果に影響を与えるものではないとの結論となりました。

なお、両事業所においては、錯誤の再発防止策が適切に講じられています。