東海村の原子力

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
核燃料サイクル工学研究所

はじめに

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構は,原子力に関する我が国唯一の総合的研究開発機関として,原子力に係る研究開発を通して,人類社会の福祉と国民生活の水準向上に資することを目的としています。

核燃料サイクル工学研究所(以下「研究所」という。)においては,昨年1月に発生したプルトニウム燃料第二開発室における汚染事象等を踏まえ,従業員一人ひとりの安全意識の向上及び基本動作の徹底を浸透させつつ,請負企業へのガバナンス強化を含めた安全管理の徹底を図ってまいります。また,情報公開に努め,立地地域との共生を図りつつ業務を進めてまいります。

東海再処理施設では,廃止措置計画について,平成30年6月に国の認可を受け,また原子力安全協定に基づき同年10月に茨城県及び東海村の同意をいただきました。同計画に基づき,高放射性廃液のガラス固化に向けた取り組みを進めるとともに,新規制基準を踏まえた安全性向上対策等を進めます。また,再処理施設の廃止措置技術体系の確立に向けた取り組みを進めます。

プルトニウム燃料開発施設では,研究所内で貯蔵しているMOXについて,プルトニウム燃料第三開発室において集約化を進めるとともに,プルトニウム燃料に関する技術開発を進めます。

その他,東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた研究開発,高速炉サイクル技術の開発,施設等の廃止措置,放射性廃棄物処理処分技術の開発及び民間事業者等への技術協力を継続して実施します。また,施設中長期計画に基づき,旧濃縮施設やプルトニウム燃料第二開発室等の廃止措置を進めます。

研究所における令和2年度の事業計画の主な内容は以下のとおりです。

 

1.事業計画概要

(1)安全確保の徹底

研究所の事業の実施に当たっては,安全を最優先事項とすることを再度徹底するとともに,自ら保有する原子力施設が潜在的に危険な物質を取り扱うとの認識に立ち,教育・訓練を充実させ,法令遵守はもとより,労働安全衛生活動,品質保証活動,安全文化の育成及び維持並びに核セキュリティ文化の醸成活動等に取り組みます。また,今般の事故・トラブルを踏まえ,安全作業3原則の徹底や現場密着型の作業監視制度の定着に取り組みます。その他,新たに導入される新検査制度への対応を図ります。

緊急時や核物質防護事案に的確に対応するため,迅速な通報連絡に努めるとともに,緊急時対応訓練の実施や所轄消防本部・警察等の外部関係機関と連携した訓練を実施し,危機管理体制の改善・充実・強化に取り組みます。

茨城県等との緊急被ばく医療に係る覚書に基づく地域医療機関や近隣の原子力事業者等関係機関との連携については,その重要性に鑑み,継続して取り組みます。

(2)東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた研究開発

国が定めた「東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」の計画に基づき,燃料デブリの性状把握に係る研究開発,汚染水処理で発生する放射性廃棄物の処理・処分技術開発等,研究所の各施設を活用した試験研究を継続します。

(3)再処理技術の開発

高放射性廃液のガラス固化を着実に進めるために,ガラス固化技術の高度化に係る研究開発を継続します。

(4)プルトニウム燃料の開発

プルトニウム燃料開発施設では,施設の安全性向上のための対応やMOX燃料開発に係わる基盤データの取得等を継続します。プルトニウム燃料第三開発室については,高速実験炉「常陽」の燃料供給を含めたMOX燃料製造技術の開発計画に係る検討等を踏まえ,所要の対応等を継続します。また,村内民間企業に保管中のウラン粉末等を保管するため,ウラン貯蔵庫等の整備を継続します。この他,日本原燃㈱が計画している民間MOX加工施設のための粉末調整に関する小規模試験及びプルトニウム分析用標準物質の調製に関する試験を実施します。

(5)高速炉サイクル技術の開発

高速炉サイクルに係るイノベーションの促進に寄与する研究開発基盤の維持や放射性廃棄物の減容化・有害度低減に資するため,マイナーアクチノイド(MA)の分離回収に関する基礎試験を行うとともに,MAを含有するMOXの基礎特性評価やMOX製造技術の高度化試験等を進めます。

(6)施設等の廃止措置,放射性廃棄物処理処分技術の開発

施設中長期計画に基づいて,所期の目的を達成した施設等の廃止措置を計画的・効率的に進めます。また,放射性廃棄物の発生量低減や減容処理及び安全な保管管理を継続するとともに,減容・安定化処理技術開発を継続します。

廃止措置としては,J棟及びL棟の器材・廃棄物の整理,プルトニウム燃料第二開発室及び燃料製造機器試験室における不稼働設備の解体撤去等を進めます。また,プルトニウム廃棄物貯蔵施設における管理区域の解除及び旧ウラン濃縮施設の廃水処理室における内装設備の撤去作業等を進めます。

東海再処理施設の廃止措置計画に基づき,リスク低減等に係る以下の取組みを進めます。

  • 高放射性廃液貯蔵場(HAW)等において,新規制基準を踏まえた安全性向上対策を最優先の課題として設計を進め,工事に着手します。
  • ガラス固化技術開発施設(TVF)において,令和元年7月に発生したガラス流下停止事象の原因調査を踏まえた対策として,早期のガラス固化処理の再開に向けた結合装置の製作・交換及び3号溶融炉の製作に係る取組みを進めるとともに,設備機器等の整備作業等を進めます。また,ガラス固化体保管能力増強に係る取組みを進めます。
  • 高放射性固体廃棄物貯蔵庫(HASWS)について,廃棄物の貯蔵管理の改善を図るため,遠隔取出し装置の検討を進めます。
  • 低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)について,施設のコールド試験やセメント混錬試験を継続するとともに,セメント固化・硝酸根分解設備の整備に必要な準備作業を進めます。
  • 分離精製工場(MP)等において,工程洗浄に向けた設備の点検・整備等を進めます。

Pu系廃棄物の減容・安定化に向けて,東海固体廃棄物廃棄体化施設(TWTF)のうちα系統合焼却炉の設計・検討を継続します。

プルトニウム燃料第三開発室における研究所内の廃止対象施設等からのMOXの集約及びMOXの保管体化に必要な設備整備等を進めます。また,プルトニウム燃料第二開発室において,保管体化を継続します。

放射性廃棄物の地層処分技術の開発については,地層処分基盤研究施設(ENTRY)におけるコールド試験,地層処分放射化学研究施設(QUALITY)における放射性同位元素を用いた試験による研究を進め,評価手法やデータベース等を拡充することにより信頼性向上を図り,処分事業と国による安全規制を支える知識基盤の整備を継続します。また,代替処分オプションとしての使用済燃料の直接処分に関する研究開発を継続します。

(7)民間事業者等への技術協力

青森県六ヶ所村で核燃料サイクル事業を進めている日本原燃㈱に対し,技術協力・支援を継続します。

使用済燃料再処理事業については,運転・保守等の技術情報の提供,原子力機構が開発した技術を採用している施設への技術支援等を継続します。

MOX燃料加工事業については,要員の派遣,研修生の受入・教育,設備設計に係る協力等を継続します。

高レベル放射性廃棄物等の処分事業を進めている原子力発電環境整備機構(NUMO)に対し,研究成果の提供や共同研究等を通じた技術協力を継続します。

当研究所施設を活用した学生実習等や,原子力に関する研修講座等への講師の派遣及び実習指導を継続し,原子力に係る人材育成に貢献します。

国立大学法人東京大学が進めている弥生炉の廃止措置については,東京大学からの要請に応じて協力を継続します。

(8)その他

内閣府からの要請に基づき,東京電力福島第一原子力発電所からの環境試料の分析作業等を実施します。

地域との交流,相互理解の促進のため,地域住民の方々との対話等のリスクコミュニケーション活動を継続して実施します。

2.安全協定第5条に係る新増設等計画

(1)ガラス固化技術開発施設【別添資料1

(概要)

ガラス固化技術開発施設の溶融炉を更新します。

(令和元年度事業計画概要に記載済み)