東海村の原子力

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
核燃料サイクル工学研究所

はじめに

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構は、原子力に関する我が国唯一の総合的研究開発機関として、原子力に係る研究開発を通して、人類社会の福祉と国民生活の水準向上に資することを目的としています。

核燃料サイクル工学研究所(以下「研究所」という。)においては、安全確保を最優先とし、情報公開に努め立地地域との共生を図りつつ業務を進めます。

東海再処理施設では、平成28年11月に原子力規制委員会に提出した「東海再処理施設の廃止に向けた計画等の検討について(報告)」及びこれを踏まえて改訂する中長期計画等に基づき、廃止措置計画の認可申請を行い、審査対応を進めるとともに、新規制基準を踏まえた安全性向上対策や高放射性廃液の固化・安定化処理を通し、再処理技術の開発を進めます。また、再処理施設の廃止措置技術体系の確立に向けた取り組みを進めます。

プルトニウム燃料開発施設では、平成28年12月に「もんじゅ」は廃止措置に移行する等とした「もんじゅの取り扱いに関する政府方針」や「高速炉開発の方針」の決定を受けて改訂する中長期計画等に基づき、プルトニウム燃料第三開発室の早期運転再開を目指し、所要の許認可申請に関する対応等を継続するとともに、プルトニウム燃料に関する技術開発を進めます。

その他、福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた研究開発、高速炉サイクル技術の開発、施設等の廃止措置、放射性廃棄物処理処分技術の開発及び民間事業者等への技術協力を継続して実施します。

また、施設中長期計画に基づき、旧濃縮施設やプルトニウム燃料第二開発室などの廃止措置を進めます。

研究所における平成29年度の事業計画の主な内容は以下のとおりです。

 

1.事業計画概要

(1)安全確保の徹底

研究所の事業を安全最優先に進めていくため、労働安全衛生活動、品質保証活動及び安全文化醸成活動、核セキュリティ文化の醸成活動等に係る方針及び目標を定め、これらを達成するための活動に取り組みます。施設の安全確保に向け、保安規定に基づく品質保証計画書等を確実に運用し、業務の継続的な改善に取り組みます。

緊急時や核物質防護事案に的確に対応するため、迅速な通報連絡に努めるとともに、緊急時対応訓練の実施や所轄消防本部・警察等の外部関係機関と連携した訓練を実施し、危機管理体制の改善・充実・強化に取り組みます。

茨城県等との緊急被ばく医療に係る覚書に基づく地域医療機関や近隣の原子力事業者等関係機関との連携については、その重要性に鑑み、継続して取り組みます。

(2)福島原発の廃止措置等に向けた研究開発

国が定めた「東京電力㈱福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」の計画に基づき、燃料デブリの性状把握に係る研究開発、汚染水処理で発生する放射性廃棄物の処理・処分技術開発等、研究所の各施設を活用した試験研究を継続します。

(3)再処理技術の開発

東海再処理施設においては、潜在的な危険の低減に係る取り組みとして、ガラス固化技術開発施設(TVF)の開発運転を通した高放射性廃液のガラス固化処理を継続します。また、ガラス固化技術の高度化に係る研究開発を行います。

この他、高放射性廃液貯蔵場(HAW)等の高放射性廃液を取り扱う施設を中心とした新規制基準を踏まえた安全性向上対策に取り組むとともに、TVFのガラス固化体保管能力増強に係る検討を進めます。

(4)プルトニウム燃料の開発

プルトニウム燃料開発施設では、施設の安全性向上のための対応や、MOX燃料開発に係わる基盤データの取得等を継続します。

プルトニウム燃料第三開発室については、高速実験炉「常陽」の燃料供給を含めたMOX燃料製造技術の開発計画に係る検討等を踏まえ、それに適合する所要の許認可申請に関する対応等を継続します。

また、村内民間企業に保管中の六ふっ化ウラン(UF6)を再転換して得られるウラン粉末等を保管するための第三ウラン貯蔵庫の整備等を行います。

この他、日本原燃㈱が計画している民間MOX加工施設のための粉末調整に関する小規模試験及びプルトニウム分析用標準物質の調製に関する試験を実施します。

(5)高速炉サイクル技術の開発

放射性廃棄物の減容・有害度低減に資するため、MAの分離回収に関する基礎試験を行うとともに、MAを含有するMOXの基礎特性評価やMOX製造技術の高度化試験を進めます。

(6)施設等の廃止措置、放射性廃棄物処理処分技術の開発

施設中長期計画に基づいて、所期の目的を達成した施設等の廃止措置を計画的、効率的に進めます。また、放射性廃棄物の発生量低減や減容処理及び安全な保管管理を継続するとともに、減容・安定化処理技術開発を継続します。

廃止措置としては、J棟及びL棟の器材・廃棄物の整理及びプルトニウム燃料第二開発室の残存核燃料物質の安定な保管形態に向けた整理作業、不稼動設備の解体撤去等を継続します。

東海再処理施設においては、平成29年度上期に廃止措置計画の認可申請を行い、審査対応を進めます。

廃棄物の減容・安定化に向けて、東海固体廃棄物廃棄体化施設(TWTF)の設計・検討を継続します。低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)のコールド試験及びセメント固化設備・硝酸根分解設備の設置に係る取り組みを進めます。また、高放射性固体廃棄物貯蔵庫(HASWS)の廃棄物の遠隔取り出しに係る技術開発を進めます。

放射性廃棄物の地層処分技術の開発については、地層処分基盤研究施設(ENTRY)におけるコールド試験、地層処分放射化学研究施設(QUALITY)における放射性同位元素を用いた試験による研究を進め、評価手法やデータベース等を拡充することにより信頼性向上を図り、処分事業と国による安全規制を支える知識基盤の整備を継続します。また、代替処分オプションとしての使用済燃料の直接処分に関する研究開発を継続します。

(7)民間事業者等への技術協力

青森県六ヶ所村で核燃料サイクル事業を進めている日本原燃㈱に対し、技術協力・支援を継続します。

使用済燃料再処理事業については、要員の派遣、運転・保守等の技術情報の提供、原子力機構が開発した技術を採用している施設への技術支援等を継続します。

MOX燃料加工事業については、要員の派遣、研修生の受入・教育、設備設計に係る協力等を継続します。

高レベル放射性廃棄物等の処分事業を進めている原子力発電環境整備機構(NUMO)に対し、研究成果の提供や共同研究等を通じた技術協力を継続します。

当研究所施設を活用した学生実習等や、原子力に関する研修講座等への講師の派遣及び実習指導を継続し、原子力に係る人材育成に貢献します。

国立大学法人東京大学が進めている弥生炉の廃止措置に係る協力として、東京大学との覚書に基づき、核燃料の酸化処理等を実施するとともに、東京大学の輸送計画に従い、核燃料の受入を行います。

(8)その他

福島県からの依頼に基づき、ホールボディーカウンターによる福島県民の内部被ばく検査を継続して実施します。

内閣府からの要請に基づき、福島第一原子力発電所からの環境試料の分析作業等を実施します。

地域との交流、相互理解の促進のため、地域住民の方々との対話等のリスクコミュニケーション活動を継続して実施します。

2.安全協定第5条に係る新増設等計画

なし。